ジゴワットレポート

週刊スピリッツ44号の菅田将暉によるフィリップ復活が仮面ライダーファンにとっていかに衝撃的で感動的か、という話

 

2009年の秋、ニチアサでは「平成ライダー10周年、秋の陣!」というコピーが使われていた。

集大成かつお祭り騒ぎである『ディケイド』、そしてその劇場版である『対大ショッカー』を経て、秋に放送が開始される「仕切り直し一発目」としての『仮面ライダーダブル』を指したものだ。

そうして始まった『ダブル』は、今でもファンから熱烈な支持を受ける作品となった。

 

あれから8年、この2017年は、ある意味二度目の「秋の陣」と言えるのかもしれない。

オリジナルスタッフによる公式続編『風都探偵』が、漫画という媒体でスタート。

そして、すっかり売れっ子俳優となった菅田将暉が、雑誌の表紙グラビアとはいえ、今一度「魔少年・フィリップ」を演じる。

当時からのファンとして、非常に喜ばしいことである。

 

映像作品でないとはいえ、「その後売れっ子俳優となったライダー俳優がもう一度その役を演ってくれる」という事象には、仮面ライダーファンの多くが様々な感情を抱いていることだろう。

というのも、「特撮ヒーロー俳優は売れるとその経歴を黒歴史化する」という、半ば都市伝説かのような言説がその界隈には根強く存在するからである。

 

これは語り始めると非常にややこしく面倒臭い話なのだが・・・。

要は、一般的に「子供向け」とされる番組に出演していた経歴は、その後のドラマや映画に出演した経歴に比べ訴求力の面からどうしても「弱い」側面があり、そうした意味でそれらの経歴が表に出ることが少なくなる、というのが実態だと私個人は思っているが、実際に、当時を積極的に振り返らない方や、当時を苦々しく語る方もいたりで、清濁様々な実態と憶測がそこに交じっているのが現状である。

 

というか、そもそも、平成仮面ライダーだけで言っても約20作あるということは主役だけで20人もいるということで、その20人の全てが同じ境遇に陥るなんてことは無い訳で、「売れたからこうなる」なんてどこかパターン化したようなことは言えないはずなのだ。

逆に、「また出たいですね」と言ってくれる俳優がいたとして、それがリップサービスの域を出ないのか本心から言っているかなんてのも、当然我々には分からない。

 

とはいえ、平成仮面ライダーシリーズが「イケメン俳優の登竜門」と言われて久しいが、そうした認知度のアップや、仮面ライダーのファンが二世代にも三世代にもなってきた長い歴史において、前述の「訴求力」の色が少しずつ変わってきたのかな、という印象は確かにある。

ヒーローを演じたことを各種メディアで語り、ずっと大事にしている俳優も多い。

ファンとしては、とても嬉しいことである。

 

・・・といった、中々言語化できないモヤモヤはこれくらいにしておいて、話を『ダブル』に戻したい。

 

この『ダブル』、とりわけ菅田将暉においては、同作以降物凄い勢いで売れっ子への道を駆け上がっていったからか、近年は「出ない」ことが多かったという事実がある。

というのも、単に「出る」「出ない」ということを言いたい訳ではなく、こと『ダブル』においては主人公が2人いるという前提があり、それがよりファンをやきもきさせていたのだ。

 

改めて振り返ると、『ダブル』のもう一人の主人公を演じる桐山漣は、同作終了後もシリーズの様々な展開に出演している。

番組終了からほどないうちは(Vシネなど)菅田将暉も出演していたが、彼が売れるに連れてか、シリーズへの参加はぱたりと途絶えてしまい、桐山漣だけの場面が多くなっていた。

 

2人がそろって映像作品として出演した最後の作品は、2011年の冬映画『MOVIE大戦MEGAMAX』。

 

仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGA MAX ディレクターズカット版【Blu-ray】

 

映像作品以外では2012年の『仮面ライダー 超クライマックスヒーローズ』でそろって声の出演をしているが、これは過去に収録した音声だと思われる。

 

仮面ライダー 超クライマックスヒーローズ

 

その後の、声の出演を含めた「桐山漣のみ」のシリーズ参加を振り返ると・・・

 

2013年の『ネット版 仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦乙!』

 

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2014年の『仮面ライダー大戦』。

 

平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦feat.スーパー戦隊

 

その後の数々のゲーム関係。(フィリップ役は不在もしくは代役)

 

仮面ライダー バトライド・ウォー 創生 メモリアルTVサウンドエディション - PS4

 

仮面ライダー トラベラーズ戦記 - 3DS

 

オール仮面ライダー ライダーレボリューション  - 3DS

 

ロストヒーローズ2 (【特典】前作がパワーアップした「ロストヒーローズ BONUS EDITION」がプレイできるダウンロード番号 同梱) - 3DS

 

・・・などなど、近年はずっと「桐山漣のみ」のパターンが多かった。

 

『ダブル』は「2人で1人の仮面ライダー」であり、その2人の友情が何度も劇中で描かれた作品でもあったので、その片方が欠け「1人だけ」になるパターンには、どうしてもファンとしてモヤモヤを抱えてしまう。

もちろん、言うまでもなく、桐山漣がダブルを何度も(声の出演を含めて)演じてくれていたことは、心の底から嬉しい。

しかし同時に、「もう桐山漣菅田将暉による翔太郎とフィリップは見られないのかな・・・」という気持ちもどうしようもなくそこにあって、桐山漣のみのダブル、もしくは、代役と組んで必殺技を叫ぶダブルをゲーム等で目にしながら、複雑な思いを抱いてしまっていた。

 

そういった背景から、オダギリジョー水嶋ヒロ佐藤健等の、他の「出ない」俳優より、余計に「菅田将暉が出ない」ことは、ダメージが大きかったのだ。

勝手に期待して勝手にダメージだなんて言って、本当に図々しく申し訳ないと思うが、やはり、「桐山漣だけのダブル」に100%心の底からの拍手喝采が起きたことは、私の中では無かった。

 

そんなこんなで、『風都探偵』である。

『ダブル』の続編が漫画でスタートすることを喜びながらも、「やはり映像作品だと菅田将暉が難しいからな・・・」という勘繰りが、そこにはどうしてもあった。

 

事実、現時点で、映像作品での「フィリップ復活」は遂げられていない。

しかし、たとえそれが静止画のグラビアだったとしても、桐山漣菅田将暉が翔太郎とフィリップのようにメモリを構えるそのワンカットは、ファンにとってあまりにも衝撃的で、あまりにも感動的なのだ。

 

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・ お待たせさん( ◠‿◠ ) ・ #菅田将暉 #風都探偵 #ビックコミックスピリッツ #...|桐山漣オフィシャルブログ「LIG BY RENN'S VISION」 Powered by Ameba

 

他の同シリーズの作品より、「桐山漣のみ」の期間がそれなりにあったことで、どこか必要以上にファンの中で復活への期待と諦めが高まっていた、菅田将暉

彼はこのスピリッツの少し前でもラジオで当時のことを語っていたりで、彼の中にまだ確かに『ダブル』があるという事実は、やはりファンとして途方もなく嬉しい。

 

「特撮ヒーロー俳優は売れるとその経歴を黒歴史化する」という都市伝説は、確かにそうかもしれないし、そうでないかもしれないし、賛成できる事例も反対できる事例もネットには溢れている。

でも今回のこのスピリッツの表紙&グラビアでの復活は、そんな言説なんか風で飛んでしまいそうなくらいにどうでもよくて、ただただ、嬉しく、喜ばしい話なのだ。

 

人間とは卑しいもので、すぐに欲が出てくるので、「菅田くん、今度の冬映画でせめて声の出演だけでも・・・」といったことを願ってしまう訳だが、そんなことは一旦忘れて、まずはこのスピリッツ44号を舐め回すように堪能したいところである。

 

 

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変態タブレット「YOGA BOOK(Android+Wi-Fiモデル)」を2週間使ってみたレビュー。その中途半端さに萌えられるか否か。

YOGA BOOK (Wi-Fiモデル)

 

久々にちょっとお高い買い物をしてしまいました。

Lenovoの2in1タブレット「YOGA BOOK」。

 

www3.lenovo.com

 

といっても、「買おうかな」と思い立ってからポチるまではおよそ1日でしたね。

こういうのは 勢いで誤魔化さないとやっていけない いくら悩んでも結局買っちゃうことが多いので。

 

タイトルにもある「変態らしさ」は、私がくどくど説明するより、Lenovo公式Twitterのこの辺りをサラッと見ていただければ分かりやすいです。

 

https://twitter.com/LenovoJP_DO/status/780698693355786241

twitter.com

 

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この手のデジモノは私も大好きなので、買う前に色々とネットで検索してレビューを読み漁る訳ですけど、結局は「その人がどういう用途で何を求めて買うか」が重要なんですよね。

 

そうでなければ(そうやって自分に言い聞かせる作業を経なければ)、こんな「ノータイムで電子化できる液タブ的なもの」「いかにもタイピングし辛そうな非物理キーボード」といった変なアイテムは、実を取るなら買わないと思うんです。

同じような機能でもっと性能が良いものは、沢山ありますしね。

 

「YOGA BOOK」みたいな、いかにも「成長途中」な代物は、突き詰めると「そのデジモノそのものに萌えられるか否か」でしかないと思うんです。

それでいくと、私は結果的にしっかり「萌える」ことが出来て、たった2週間でもう「YOGA BOOK」を手放せなくなりました。まさに愛着、というやつ。

 

で、話は戻りますが、「その人がどういう用途で何を求めて買うか」の部分。

自分は以下の用途で買いました。

 

①仕事で手帳を使うのをやめてスケジュールをデジタルで管理したい

②名刺をデジタルデータ化して持ち歩きたい

③仕事でよく使う資料(自社パンフなど)をデータ化して持ち歩きたい

④プライベートで動画や漫画を(スマホより)大きい画面で観たい

 

主に①~③については、「薄い」「軽い」が大きな利点。

折り畳んだ状態で厚さは約1cm、重さは690g。

長年、厚めで大きい手帳を愛用していたので、「YOGA BOOK」を常に持ち歩くことに全く違和感は感じないです。

 

Wi-Fiモデルを選んだのは、職場と自宅にはどちらもWi-Fi環境が整っているから。

出張とか行ってもWi-Fi完備のホテルしか選びませんし、言うほど飛び回る立場にも無いので、特に不自由はないかなあ、と。

 

そこで焦点になるのは、非物理となるハロキーボード。

いわゆる「液タブ的な部分」をキーボードモードに切り替えると、瞬時にキーボードがライトアップされ、タイピングをすることができる、という代物。

 

 

数あるレビューでも必ず争点となる「使いやすいか否か」について、私の答えは、「意外と使える」です。

言うまでもなく、長文を打とうとすると最悪です。絶対オススメしません。

ただ、私の用途である「簡単なスケジュールの入力」程度なら、かなり便利と言えます。

 

元々私はブラインドタッチすら使えない上に「ホームポジション?なにそれ?」という我流でヘンテコなタイピングを習得している人間なので、「キーの上に指を置くことができない(非物理なので置いただけで反応されてしまう)」という欠点がノーカウントになっていることが大きいです。

こればっかりは、可能なら実機を試して欲しいですし、例えば紙に印刷したキーボードを打ってみたら割と近い感覚が得られるかもしれません。

 

そんなこんなで、打っても「スケジュールの内容」とか「調べ物の検索キーワード」とか「動画サイトで作品名を入力」程度なので、このくらいなら「大活躍」と言えますね。

画面上に出てくるキーボードよりよっぽど大きいですし、打ちやすいです。

 

そんな「スケジュール管理」は、色々検討した結果、「ジョルテ」を使用。

職場・家のPC、スマホ、そして「YOGA BOOK」で同期させてます。

これはかなり助かってますね。職場で使う付箋の数も減りました。

 

www.jorte.com

 

名刺管理は「CAMCARD」。

スマホでばしゃばしゃ撮って取り込む訳ですが、割と精度が高くて助かりました。

 

play.google.com

 

資料の持ち歩きは、ベタに「Googleドライブ」。

オフラインで閲覧できるように保存しておいて、出先で確認したりしてます。

 

www.google.com

 

これで想定していた①~③の環境を作っています。

もちろん、PCの代わりには絶対にならないでしょう、「YOGA BOOK」は。

あくまで「サブマシン」「手帳替わり」という位置づけですね。

 

④については、タブレットなので言わずもがな。

漫画が見開きで読めるのは本当に助かる・・・!文庫本より十二分に大きいサイズですからね。

とはいえ、Amazonプライムビデオが多くのAndroid端末でHD非対応なのはどうにかして欲しい。

 

twitter.com

 

誤算として挙げられるのは、ノータイムで書いたものが電子化されるという目玉機能。

 

 

自分の使い方の問題といえばそれに尽きるのですが、手帳替わりに手軽に持ち歩くことを重要視しているので、この機能を日常的に使おうとすると、「専用ペン」「書く用の紙」「紙がずれないようにするための磁石内蔵バインダー(初期付属品)」も携帯しなくちゃならないんですよ。

なので、「サッと広げて使う」というよりは、「しっかり座って聴く講演会やセミナーでのメモ」とか「腰を据えてお絵かきしたい時」に、品々をしっかり用意して臨む感じですね。

だから、現時点ではあまり恩恵を感じていないのが本音です。

 

 

反面、嬉しい誤算として細かいところで言うと、2枚の板を接続している特殊ヒンジのおかげてグリグリと自由に形を変えられるので、いわゆる「タブレット用のスタンド」が不要だったり、「角度によっては光が当たって見え辛い」とかが無いのが良いですね。

気持ち良いくらいに、好きな角度でピタッと止まる。これが最高。

 

 

あと、薄いのでどうしても発熱を掌で感じてしまって、最初は気になっていたのですが、数日で全く気にならなくなりました。

Androidだからとは思いますが、動作もサクサクで快適です。「Android N」へのアップデートもつい昨日入りましたしね。

 

 

つまるところは、中途半端なんです、「YOGA BOOK」は。

 

タブレットにもなりきれず、ノートPCにもなりきれない。

その「中途半端さ」に一石二鳥を感じて「成長途中のデジモノ萌え」と共に愛せるか、それとも、「この性能ならまだこれは買うべきじゃない」と判断するか。

2週間使い倒してみた私としては、どちらの意見もとっても分かる、というのが本音ですね。

 

先日(2017年9月)のLenovoの新作発表では後継機が出てこなかったので、まだまだしばらくは最新型として使えそうです。

 

※保護シートやUSB関連など、買ったのは以下の品々。保護シートはびっくりするくらい綺麗に貼れました。オススメです。

 

 

もうみんな絶対読んでると思うけど『Dr.STONE』って漫画がめちゃくちゃ面白いよね、という話

 Dr.STONE 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

またもやすでにタイトルで完結している記事を書いてしまった・・・。

 

本当にそのままなんですけど、週刊少年ジャンプで連載中のDr.STONE、とっても面白いですよね。

なんというか、久々に「ぐああ!こんな漫画もあるのか!!」というショックを伴うタイプというか、斬新で攻めたアプローチが盤石な土台の上で展開されるという、この安心感が・・・すごい!

月曜の朝が待ち遠しくて、(自分はジャンプ+で電子購入しているので)毎週早起きして一番にこれを読んでます。

 

天下のジャンプで、しかも順調にスターダムを駆けのぼっている人気作なので、こんな場末のブログを読みに来ているような人は多分すでに読んでいると思うんですけど・・・。

念のためあらすじを書くと、「全人類が石になった世界に科学で立ち向かう」というやつです。

というかジャンプ公式が作ったこのPVをどうぞ観てください。

 


JC『Dr.STONE』2巻発売記念!少年ジャンプ公式PV

 

www.shonenjump.com

 

あと、第1話の試し読みが出来ます。

集英社のコミックスってもれなく第1話が無料公開されてるので、本当にありがたいですね。

 

結局この作品の何が面白いかというと、「文明が滅びた世界に」「科学を武器に立ち向かう」という部分がまず大きい訳ですよ。

 

「0から1を創っていく」というクリエイティブな面白さが上手くサバイバルのワクワク感と融合していて、それでいて作中最大の武器が「科学」にあるので、自分たちが今まさに科学文明の恩恵を受けて暮らしている現状と切っても切り離せない「リアルさ」「身近さ」が上乗せされていく、と。

作中でも「やっちゃダメだぞ」と注意書きがあるものの「酒の作り方」「火薬の作り方」が割としっかり書いてあったりして、もちろん実際にはやらないのだけど、大事なのは、「自分にもできそう」という感覚が頭をよぎる一瞬があるか無いか、なんですよね。

 

昔学研から「〇年生の科学」という冊子が発行されていて、自分も読んでいたのですが、あれを読んだ時のワクワク感とほぼ同じなんですよね、『Dr.STONE』。

 

あと余談ですが、「いきなり文明が無い環境に放り込まれるサバイバル漫画」という点で、あの伝説の『エデンの檻』を思い出したりしますね。

 

 

これも『Dr.STONE』のように「その環境でどういうコミュニティを作るか」で若者同士が対立するお話で、人と人の戦いが国と国の戦いにシフトしていくという。

まあ、壮絶すぎる打ち切りエンドに当時は開いた口が塞がらなかったのですが・・・。

 

Dr.STONE』の原作担当は、あの『アイシールド21』の稲垣理一郎先生。

自分は『アイシールド』も本当に大好きな漫画でこのしょうもない人生のバイブルとか言っちゃうくらい好きなんですけど(オタクはすぐバイブルとか言いたがる)、根底にあるものは『Dr.STONE』も『アイシールド』も同じなんですよね。

 

つまりは、「地道にコツコツやるのって、かっこいい」ということ。

作中でも「分からないことにルールを探す地道な努力を『科学』と呼んでるだけ」という名シーンがありますが、まさにここが肝な訳です。

石になった人間を生身に戻すまでの液体を作る実験に1年をかけて「思ったより早かった」と言わせる、まさにここの部分。

根気の上にある飽くなきトライ&エラーは、さながらアメリカ横断デスマーチなのです。

 

この「地道にコツコツやるのって、かっこいい」は、「サンドイッチマンの週刊ラジオジャンプ」に稲垣先生が出演した回でご本人が言っていた言葉でして、本当にこれに尽きる訳です。(この番組のことを最近まで全く知らなかったんですけど、Twitterのフォロワーの方に教えていただきました。ありがたい・・・!)

 

www.tbsradio.jp

 

稲垣先生は『アイシールド』の連載を終えて、数年間ニート生活をおくった後に、ふと「地道にコツコツやってそれがかっこいい作品を書きたい」と思い立ったとのこと。

サバイバルに限らず、自分の信念に則って地道に努力を積み上げる人間って、やっぱりかっこいい訳ですよ。

この漫画は、派手な必殺技が飛び出る訳でも、武器や超能力を使って戦う訳でもないけれど、でも確かに「かっこいい」。それは、地道にコツコツ努力するから。

だから、面白い。

 

「ファンタジーやフィクションにおけるかっこよさ」と「現実的なかっこよさ」はそれぞれ別にあると思っていて、例えば黒崎一護が虚(ホロウ)を一刀両断して【職業:死神】ってやるのも確かに「かっこいい」んですけど、これはあくまで前者の「かっこよさ」なんですよね。(それはそれで大好き)

特に少年漫画はその前者における「ファンタジーやフィクションにおけるかっこよさ」の割合が高くて、後者における「現実的で身近なかっこよさ」は、フィクション度数が低い作品(リアル寄りの作品)に多く出てくる訳です。(例えば麻雀漫画である『アカギ』のかっこよさはちょうど前者と後者の中間くらいにあると言えば分かりやすいですか?え?むしろ分かり辛い?)

 

そして、この『Dr.STONE』は、通常であれば前者の「かっこよさ」が求められそうな超ド級ファンタジー設定の上で、後者の「かっこよさ」をやる。このアプローチが面白い訳です。

全人類が石になって文明が崩壊した世界なんで誰がどう見ても現実離れしたファンタジーなのに、やってることは至極身近にある「コツコツと努力を積み上げるかっこよさ」、そして、目指すは「我々の生活を支える科学文明」。

 

Dr.STONE 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

 

※このあと単行本派の人にはネタバレがあります。

 

 

だから、作中で科学に心酔する千空が、ついに発電にまで辿り着いたシーンが泣けてくる訳ですよ。

普段はクールを気取っている奴なのに、誰よりもコツコツ努力して、めげずに頑張って、そしてついにエジソンと同じ位置にまで辿り着く。

「電気が光ったことに泣けてくる」んですよ、すごい漫画だな、って思うんです。

 

 

その千空は『アイシールド』のヒル魔に酷似した性格で、まあ原作者が同じなので何を今更な話ですが、やはりヒル魔といい千空といい、このキャラクターはズルいですよね。

誰よりもズルいのに、誰よりも努力家。クールさと熱さをどっちも持ってる。

だから、発電したシーンでグッとくるし、「0.1秒縮めんのに、一年かかったぜ・・・!」で同じくグッとくる訳です。(まあ、ヒル魔は完全に主役であるセナを喰ってしまっていてそのバランスに賛否があるという話はあるにはあるんですけどね)

 

取り巻く環境は異質でファンタジーでも、繰り広げられるのは「我々が毎日のように恩恵を受ける科学文明」をコツコツと努力して積み上げるという行為。

そのギャップ、一見食い合わせが悪いようなアプローチ、それらが絶妙に混ざり合う爽快感。

それこそが、この『Dr.STONE』の魅力だと思うのです。

 

しかも、作画がマジで美麗すぎて週刊とはとても思えないクオリティというのも本当にびっくりというか、第1話掲載の時にただの読者なのに偉そうにも心配しちゃいましたからね、「え?これ週刊でいけるの?」って。

 

そんなこんなで、兎にも角にも『Dr.STONE』、もうみんな読んでるとは思うんですけど!思うんですけど!・・・でも、もし読んでない人が幸運にもこの文章を読んでいたら、良かったらこの第1話を読んで帰ってください。

 

 

◆過去記事

jigowatt.hatenablog.com

jigowatt.hatenablog.com

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だから僕は「神様、僕は気づいてしまった」にハマっていましたのでとにかく語らせてくれ

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久々にしっかりとハマってしまったバンド、神様、僕は気づいてしまった。通称「神僕」。

 

バンド名が完全にいわゆる厨二的なアレで、覆面バンドで被り物のモチーフが神様というのも、中々に「キてる」感じ。
つくづく、アーティストというのは曲そのものだけでなく見てくれやプロモーションを含めた一種の総合芸術だなあ、と思い知らされる。
覆面バンドである理由を「曲自体の魅力に注目してほしいから」と語っているらしい彼らだが、むしろその特異なビジュアルが曲の神秘性やスレた雰囲気に拍車をかけている側面もあり、そのしたたかさが売りのようにも感じる。

 

realsound.jp

 

──ということは、リスナー層としては若い世代を想定しているんでしょうか

和泉:若い人だけに限らず、人はそれぞれ悩みを抱えていると思っています。でも、僕たちがコンセプトにしているような苦悩を抱えているのは若い人が多いかなと。

東野:まず他人事としてではなく、実体験がコンセプトになると思うんです。僕たちがそういった悩みを抱えた10代を過ごしたので、だったら同じような10代の子たちを巻き込んで、自分たちが過ごした10代とは違うものにしてもらえたらなと。救いたいとかそういう気持ちとは違った、純粋に共犯者として巻き込んでいきたいし、当事者として聴いてもらえたらなという部分が強いんです。きっと一番当事者になってもらえるのが10代だと思うので、僕らがまずやるべきことは10代の洗脳かもしれないですね。

 

バンドのブレインである東野へいと氏がこのインタビュー記事で述べているように、「神僕」は非常にロジカルにプロモーションされていることが分かる。


ただの厨二コンセプトバンドのような反骨精神に甘んじるのではなく、ドラマとのタイアップならその脚本を読んで内容に寄せ、意味深なバンド名が獲得するであろう年齢層までを分析する。

ネガティヴで鬱屈とした10代が抱きやすい負の感情を神様に擬人化し、それに対して「ざまあみろ!」を投げかけるコンセプトであるからして、紡がれる歌詞もネガティヴで自虐的なものが多い。
世の中に絶望し、人生や人間関係を皮肉り、ポエマーを気取ってみせるその一種のカッコ悪さを、必要以上にキャッチーなメロディに乗せて歌う。
そのギャップが、土台にあるメンバーの確かなスキルの上で展開されるからして、中毒性のある楽曲に仕上がっているのだ。

 


神様、僕は気づいてしまった - わたしの命を抉ってみせて

 

デビューアルバム『神様、僕は気づいてしまった』の1曲目、「わたしの命を抉ってみせて」は、同アルバムのリード曲に設定されている。

 

「神僕」らしいハイトーンのサビが印象的な曲だが、アルバムの出だしから斜め上のお洒落な雰囲気をまとっているのが面白い。
いわゆるジャジーな仕上がりになっており、スウィング・ジャッズのリズムをドラムに刻ませて、それを横断するボーカルの伸び伸びとした声質を聴かせることに注力している。


シャーロック・ホームズフリードリヒ・ニーチェが登場する、やたら「おしゃんてぃ」な歌詞は、「折り合いはまたにして」「勘定はまたにして」とひたすらに他者を突きつけて締められていく。
非常に「神僕」らしい、バンドコンセプトを象徴する一曲だ。

 

宣戦布告

宣戦布告

 

かと思えば、同アルバムの2曲目「宣戦布告」ではゴリゴリのロックサウンドでギターがかき鳴らされる。


割とベタなAメロBメロサビ構成だが、そのオーソドックスさに「神僕」のスレた自虐性が加わると、途端に独特の色に見えてくるから面白い。
「明日は昨日よりずっと冷たい」「一生孤独なピエロで震え怯えていくのだろう。これは宣戦布告だ。もう何もいらない」。
相変わらず世の中を憂い唾を吐きかける「神僕」カラーの歌詞で、その言葉選びにも一々ゾクゾクさせられる。


余談。


「神僕」のボーカル・どこのだれか氏はニコニコ動画で人気のアーティスト・まふまふ氏だとする説が有力だが、前述の「宣戦布告」はそのどこのだれか氏が作曲を務めており、まふまふ氏が参加する After the Rain というユニットの「解読不能」(まふまふ氏作曲)とコード進行やリズムの作り方が酷似していることから、私もその説を支持したいところである。(とはいえ覆面コンセプトバンドなので仮にそうだとしても一応は気付かない振りをするのがファンのマナーというものか...)

 

解読不能

解読不能

 
どこのだれか氏がまふまふ氏であろうとなかろうと、両者が操るハイトーンボイスは非常に聴きごたえがある。


余談終了。

 


神様、僕は気づいてしまった - CQCQ

 

アルバム3曲目にして、シングルで先行発表された代表曲「CQCQ」が鳴り出す。


CQ」とは無線通信で範囲内の誰かに一斉に呼びかける際に用いられる略符号であり、その無線が用いられるからか、「沈没船」「航海」といった船旅を連想するワードが並んでいる。
ドラマ『あなたのことはそれほど』の主題歌ということで、同番組のテーマである不倫を船旅に例え、「どうしたってなれない夢ばっかを選んで、どうにだってならない嘘なんかを吐いて」、ついには「遭難信号に気づいて」と叫び、「CQCQ!」と何処かの誰かに助けを求める。
それは確かに番組テーマの不倫を模しているし、同時に、思い通りにならない世の中に依存しながら嫌悪感を抱き、気付けば叫び声を上げてしまうという「神僕らしい」ネガティヴな雰囲気としても完成されている。

 

──神様、僕は気づいてしまった(以下、神僕)の話に入る前に、まず最初に東野さんと和泉さんの音楽的ルーツから聞かせてください。

東野へいと(以下、東野):いろいろなアーティストを聴いて育ってきているんですけど、思想に影響を受けた特定のミュージシャンがいるわけではなくて。僕はどちらかというと音楽の歴史や数学的な側面、例えば「今聴いている曲が気持ち良い。じゃあなんでこの曲は気持ち良く聴こえるんだろう?」みたいな部分を考えるのがすごく好きで、そこからフィードバックを得ているというか。


「CQCQ」は東野へいと氏の作曲だが、彼の語る「なぜその曲が気持ち良いのか」という指針を非常にダイレクトに表した曲とも言える。


Bメロまでのアンニュイな雰囲気から一転、サビではびっくりするほどのハイトーンが鳴り響き、サビの2フレーズ目では更にもう少し上にフェイクを入れるように入っていく。
そして、畳み掛けるように「気付いて」からの一連の流れでサビの延長をキメることで、普段のJ-POPがいわゆる「ラスサビ」に持ってくる「てんこ盛り」の感覚をまかの初っぱなからぶつけてくるのだ。
だからもう、否が応でも「気持ち良い」。

 


神様、僕は気づいてしまった - 僕の手に触れるな

 

アルバム『神様、僕はきづいてしまった』には他に、引き続き他者を拒絶する「僕の手に触れるな」、神様の立場から破壊衝動をぶつける「天罰在れかしと願う」、アルバムで唯一未来を見据えている「大人になってゆくんだね」、東京の街で腐っていく主人公を歌った「だから僕は不幸に縋っていました」など、もはや聴きごたえしかない曲々が収録されている。

 

 

「神僕」は、見せかけ・見てくれの厨二っぷりや毒っ気を開き直ってぶつける清々しさがあり、その土台にあるアニソン的な「ここ!というタイミングでちゃんと音が入ってくる気持ち良さ」を地に足の着いたスキルで完成させていくという、非常に独特なバランスを持ったバンドである。

 

思いっきり、ここ数日は彼らの音楽しか聴いていないくらいに本当に思いっきり、ハマってしまった。
特定のバンドの新曲をこれほどに渇望したのはいつぶりだろうか。

 

この毒のあるコンセプトやビジュアルが一体いつまで持続するのかは分からないが、見た目から漂ういわゆるその「臭さ」が嫌いになれない人間のひとりとして、長い付き合いになることを願って止まない。

 

 

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